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松田実った雑草魂、原点は延岡のビニールハウスプール

男子200メートルバタフライ決勝、優勝したフェルプス選手(左)と握手を交わす松田丈志選手(13日、北京・国家水泳センターで)=大久保忠司撮影

 【北京=小島剛】ビニールハウスのプールで鍛えられた雑草スイマーが8冠を狙う怪物マイケル・フェルプス選手(23)(米国)に挑んだ。13日の男子二百メートルバタフライで銅メダルを獲得した松田丈志選手(24)。松田選手が4歳の時から二人三脚で世界を目指してきた久世(くぜ)由美子コーチ(61)は教え子の渾身(こんしん)の泳ぎに感無量の様子だった。

 ラスト50メートルになってもスピードは落ちなかった。3位でゴールするとガッツポーズを見せ、隣のコースのフェルプス選手と握手した。

ゴール直後、松田選手に手を振る久世コーチ(13日、北京市の「水立方」で)

 観客席の久世コーチはゴールの瞬間、右手に握っていたストップウオッチを手放し、こぶしを振り上げて「タケシー!」と叫んだ。

 筋肉の(よろい)をまとったような上半身がぐいぐい進む。前日の準決勝でマークしたアジア新記録をさらに縮めての銅メダルだった。

 松田選手の泳ぎの原点は、故郷・宮崎県延岡市にある東海(とうみ)中学校のプールだ。久世コーチがボランティアで地元の子どもに水泳を教えていたプールだった。屋外で温水設備もないため、見かねた保護者たちが雨や冬の寒さ対策として建ててくれたビニールハウスの中にあるプールは、遠目には、野菜を栽培しているビニールハウスのように見えた。

 松田選手は、そこに4歳の時から通ってきた。「幼いころから負けず嫌いで、速く泳ぎたいという気持ちの強い子だった」と久世コーチは振り返る。久世コーチがほれ込んだのは、その気持ちの強さだ。

 松田選手は、バルセロナ五輪で岩崎恭子さん(30)が金メダルを獲得し日本中が沸いた小学2年の夏、五輪を意識する。「自分もあの表彰台に立ちたい」と強烈にあこがれた。

 ビニールハウスで覆ってはあっても、冬場の水温は約10度。それでも久世コーチの指導の下で来る日も来る日も泳ぎ続け、国内大会やジュニア五輪で優勝するなど実績を重ねてきた。

2008年8月13日  読売新聞)
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