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「つらい日々無駄ではなかった」本村さん判決に万感の思い

記者会見を終え会場を出る本村洋さん(22日午後1時9分、広島市中区のホテルで)=上田尚紀撮影

 「ひとつのけじめがついた」。山口県光市の母子殺害事件で、遺族の本村洋さんは、22日に広島高裁で開かれた差し戻し控訴審の判決後、淡々とした口調で判決への思いを語った。死刑判決を受けた元会社員(27)の弁護団(21人)は「被告の心を真っ正面からとらえない、極めて不当な判決だ」と批判、上告審で争う姿勢を鮮明にした。

 本村さんは22日、広島市内での記者会見で、元会社員が上告したことについて、「特に動揺や憤りはない。ただ、上告の理由だけは知りたい」と述べた。

 本村さんは、判決主文を聞いた瞬間を「言葉にはできないが、万感の思いがあった。非常に重い判決と受け止めた」と振り返った。元会社員に対しては「胸を張って死刑判決を受け入れ、自らの命をもって罪を償ってほしい」と述べた。

 終始淡々と語った本村さんも質問が親族のことに及ぶと、声を詰まらせた。高裁の控室で、涙が止まらない妻の母に「9年間ご苦労をかけました」と言葉をかけたことを明らかにした。

 被害者遺族の意見陳述権が確保されるなど、この9年で司法制度は大きく変わった。「本当につらい日々もあったが、それが無駄ではなかったと思える。裁判員制度をにらみ、司法に被害者も加害者も一般の人も参加して、社会の問題を解決するという民主主義の機運が高まる方向にあると思う」とした。

 一方、弁護団の主任弁護人の安田好弘弁護士らは同市で開いた記者会見で、判決後に接見した元会社員の様子について、「落ち着いていた。『あいまいな点や間違いがあるかもしれないが、(差し戻し控訴審で)語ってきたことが、自分にとっての真実』と語っていた」と述べた。

 弁護団は判決に対し「差し戻し審前に最高裁が示した『死刑を回避する理由がない』とする判示にのみ込まれ、『死刑判決は慎重に下されるべきだ』という哲学に反している」と指摘。「今後、厳罰化がとめどなく加速するだろう。非常に危険な状態になった」とした。

2008年4月23日  読売新聞)
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