<下>容認派も強硬姿勢
◆ 「厳しい条件突きつける」
名護市役所で配られた辺野古移設に反対する市民集会のビラ(25日午後0時37分)=泉祥平撮影
透き通った海が眼下に広がる沖縄県名護市辺野古の米軍キャンプ・シュワブ。司令部近くに真新しい兵舎があり、動きを止めた大型クレーンやショベルカーが何台も見える。
ここ数年、米軍普天間飛行場(宜野湾市)をシュワブ沿岸部に移設する現行計画を見据え、兵舎の移築工事などが着々と進んでいた。工費は100億円超。だが、鳩山首相が「辺野古以外を模索する」と宣言した昨年12月以降、新たな工事の発注は途絶えた。
その首相は23日、前言を翻して「辺野古移設」を表明した。シュワブ近くの建設業者(45)は「工事はきっとすぐに動き出す。とにかく仕事がほしい。下請けでも何でもいいから参加したい」と、ほっとした顔を見せた。
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地元業者を含め、容認派が多数を占めた辺野古。補償を望む住民も多く、辺野古回帰を決めた政府に、厳しい受け入れ条件を突きつけようという姿勢が強まる。
首相が沖縄を再訪する2日前。地域住民の代表でつくる行政委員会は先手を打ち、「条件付きで移設を受け入れる」と決議した。
出席した委員は「あれは政府への助け舟ではなく、宣戦布告。こちらの条件をのまなければ、容認しないというメッセージだ」と明言する。「巨大な基地を受け入れたのに集落はさびれたまま、というのでは子や孫に顔向けできない。条件はこれから詰める」
一方の反対派も、鳩山首相の「変心」に危機感を募らせる。中心人物の一人、嘉陽宗義さん(87)は「日本の政治家はうそをつくのが仕事になってしまった。私は最後まで命がけで闘う」と訴える。嘉陽さんは25日、名護市を訪れた社民党の福島党首に「みなで手を取り合って乗り切ろう」と呼びかけた。
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政府は28日にも「辺野古移設」で日米の共同文書を発表する方針。「頭越し」の態度に、沖縄の反発は強まるばかりだ。
那覇市では、5月の県民大会に続く大規模な集会が28日に開かれる。
同じ日、名護市中心部でも稲嶺進市長が実行委員長を務める緊急市民集会が開催される。市役所周辺で25日、市議らが参加を呼びかけるビラを配った。実行委員の神山敏雄市議(62)は「地元の意向を無視した日米合意など絶対に許さない。体を張ってでも移設を阻止する」と対決姿勢をむき出しにした。
だが、この集会に容認派の市議12人は参加しないという。市役所近くで飲食店を営む女性(49)は「かつての受け入れ表明から13年間、店でも賛否両派の客がけんかになった。この小さな街で、あのいがみ合いがまた始まるのか」とため息をついた。
(2010年5月26日 読売新聞)