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【社説】川辺川ダム 地元が「ノー」を突きつけたもともと必要性が疑問視されていたダムの建設計画に、地元がノーを突きつけた。 熊本県で国土交通省が工事を進めている川辺川ダムのことだ。3300億円もの巨費がかかるこのダムは、動き出したら止まらない大型公共事業の典型とされていた。 その計画に、蒲島郁夫知事が反対する考えを表明した。このまま推進するのは事実上、不可能になったと言える。この際、国交省は計画を中止すべきである。 蒲島知事は県議会で「ダムによらない治水計画を追求すべきだと判断した」と述べた。 今春の知事選で当選した蒲島知事は、有識者や地元市町村の考え方を聞くなど、半年間、対応を検討してきた。その結果、流域の拠点市である人吉市が反対したことなどが、背中を押した。 この判断を受けて、福田首相は「地元の意向は尊重されるべきだ」とし、国交省の事務次官も、「知事の判断を重く受け止めたい」と語った。 そうであるならば、国交省はできるだけ早く計画の撤回を決断し、新たな洪水対策の立案に入る必要がある。 地元では、川床の掘削や堤防のかさ上げ、遊水池の造成などで洪水に対応できると指摘している。国交省はこうした案の具体化を考えてはどうか。 問題は、現行の建設計画に応じて、住民の多くが転出した五木村などへの支援策だ。村は、ダムができた場合はダム湖を目玉に観光客誘致などを考えていた。国や県は、それに替わる振興策を考えなければならない。 川辺川ダムについては、42年前の計画スタート時点から賛否両論があった。計画の途中から付加された農業用水としての利用や発電などの目的は撤回され、治水計画だけが残った。 その治水計画についても、大規模な自然破壊の割には、効果が小さいとの見方が強かった。 幸い、ダム本体の工事にはまだ着手していない。できるだけ自然を残しながら効果のあがる治水事業に、残った予算をつぎ込む方が得策だろう。 川辺川ダム以外にも、国内には数多くのダム建設計画がある。地元の強い反対にもかかわらず、国交省が強引に進めつつある地点も少なくない。 関西の淀川水系の四つのダムはその典型だ。川辺川ダムを教訓に、国交省は淀川水系についてもダム計画を見直す必要がある。 (2008年9月14日 読売新聞)
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