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仮排水路トンネル工事が着工、計画から31年ぶり

 建設省川辺川工事事務所が、熊本県相良村に建設を予定している川辺川ダムの本体着工につながる仮排水路トンネル工事が二十三日、ダム建設予定地の下流で始まった。一九九九年三月に完成し、本体着工は二〇〇一年の予定で、計画策定から三十一年ぶりの本格着工になる。長崎県の諫早湾干拓事業など公共事業の見直しが言われるなか、反対運動が活発化しており、曲折も予想される。

 仮排水路工事は、本流の水を一部区間閉め切り、トンネルを通じてう回させることで、川底を乾いた状態にする。ダム予定地の川辺川左岸に直径九・七メートル、長さ五百七十五メートルのトンネルを掘り、最大毎秒七百十トンの水を流す。事業費は約十四億円。

 トンネルは川沿いの山を貫き、上流の水の取り入れ口と吐き出し口付近に本流の水をトンネルに流すための仮閉め切り堤二基(高さ十四メートルと八メートル)を設ける。このあとコンクリートを製造するプラントなどを建設、本体のコンクリート打ちに着手する方針。

 午前十時半から相良村で行われた安全祈願祭には工事関係者らが出席した。

 同ダムは、建設省が一九六六年七月に計画を発表。当初は五木村の水没住民らの提訴などで難航したが、八四年に和解が成立。九一年には最後まで建設に反対していた水没者地権者協議会が、土地の価格などの基準を決めた損失補償に調印、ダム建設を受け入れた。一方、同ダムから、かんがい用水を引く農水省の国営川辺川総合土地改良事業で、計画変更への異議申し立てを棄却された農家など八百六十六人が「水は不要」として昨年六月、農相を相手取って行政訴訟を起こしている。

 公共事業の見直し論議が高まる中、学識経験者らで組織する「川辺川ダム事業審議委員会」(委員長・江藤孝熊本大教授)が「事業継続」を建設省に答申。相良、五木両村も同十月、本体着工に同意した。

 しかし、ダム本体着工には、球磨川漁協との漁業補償交渉を残している。また「建設は環境破壊につながる」などとする反対運動も活発になっている。二十二日には、建設に反対する十四団体が〈1〉ダム事業審議委員会は住民の声を反映していない〈2〉水没予定地周辺にはクマタカなどが生息するにもかかわらず、環境アセスメントが行われていない――などとして中止を求める要請書を提出している。

 川辺川ダム 建設省が一九六六年七月、治水を目的としたダム計画を発表。六八年に利水と発電を伴った多目的ダムに変更した。ダムはアーチ式で、高さ百七・五メートル。総貯水量一億三千三百万トン。総事業費約一千百億円。完成すると、相良、五木村で五百二十八世帯が水没する。すでに四百三世帯が村内外に移住している。

1997年5月23日  読売新聞)
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