日食の謎一挙解決? 研究者ら20人当日観測へ
「日食時に吹くと言われる伝説の風は本当か」「太陽に輪は存在するのか」――。22日に鹿児島以南の島々で見られる皆既日食の際に、日食にまつわるミステリーを解明する研究が計画されている。
全国から集まった研究者らが、鹿児島大学の練習船「かごしま丸」で九州南東沖に繰り出し、太陽が月に隠れた時にしかできない謎解きに挑む。
かごしま丸には、大学、国立天文台、宇宙航空研究開発機構の研究者ら20人が乗り込む。地元鹿児島大水産学部の仁科文子助教らは、気象変化を観察する。
日射が遮られる皆既状態になると、気温が数度下がる。変化に伴い、風向きも変わることがあるという。世界各地で日食観測を続けるアマチュアの間では「日食時に風がやみ、その後、突風が吹き抜ける」との話が伝えられているが、科学的な観測例はほとんどなく「伝説の風」とも言われる。仁科さんらは、風の変化を船上で観測し、部分日食が観察される全国850地点の気象庁のデータも総合して、伝説の風を検証する。
「太陽の輪」に迫るのは、神戸大の向井正名誉教授。1000分の数ミリ・メートル程度の微細なチリも太陽を回っている。これらのチリが、太陽から約300万キロ・メートル離れた場所でリング状に広がっているのを、米科学者が1966年の日食時に赤外線観測で見つけた。
しかし、83年に京都大チームがインドネシアの日食の際に観察したのを最後に、なぜか太陽の輪は見えなくなってしまった。今回は太陽活動が100年ぶりという停滞期に入っており、コロナの光も弱いために26年ぶりの観測に期待がかかる。向井さんは「今回の日食は皆既の継続時間が長く、観測に絶好の機会」と楽しみにしている。
(2009年7月18日 読売新聞)