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集落点描

<下>橋完成、陸の孤島を脱却

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談笑する菅さん夫婦と渡辺さん(中央)。右奥が鮎の瀬大橋

 ◆都市住民が農村に活力

 1955年まで目丸、津留とともに一つの村を構成していた菅(すげ)地区。深い渓谷と棚田に目を奪われる。96年には「美しい日本のむら景観コンテスト」に入賞したこともある。

 「昔は陸の孤島と言われていました」と菅地域振興会会長の渡辺正弘さん(70)は振り返る。

 陸の孤島から脱却できたのは99年8月、6年の歳月をかけた鮎(あゆ)の瀬大橋が完成したからだ。それまで山都町役場のある浜町まで車で30分かかっていたのが10分に短縮された。

 ただし、高齢化はここでも深刻な問題。86世帯230人が住み、65歳以上が半数を超える。12年ほど前からは都市部住民を対象に棚田オーナー制度を始めた。

 渡辺さんは妻と93歳になる祖父と3人暮らし。娘2人は県外に嫁いだ。長男は岐阜県で就職、二男は熊本市で大工をしている。「まだ40歳前の二男は田植えとか稲刈りの時には帰ってきてくれるから助かる」と渡辺さんは言う。

 熊本大文学部で農村社会学専攻の徳野貞雄教授は、農村部から都市部に出ているものの、用があれば車ですぐに帰ってこられる「他出子」と呼ぶ子供たちの存在に注目。「他出子を考慮に入れれば、その集落の潜在力はぐんと高まる。都市と農村との交流はそうした身内に目を向けるべき」と説く。

 菅地区の産物に魅せられ、定年後の生活をその販売にかけようと考えている人もいる。熊本県庁を今春退職した菅(すが)純一郎さん(55)。棚田オーナー制度から菅地区にほれ込み、「体力のあるうちにこの地域の振興策に貢献したいと思った」と語る。妻の美枝子さんも最初はとまどったが、賛成に回った。

 菅さんの自宅は熊本市帯山。菅地区に拠点を設け、やがてはここの無農薬の野菜や食品加工品などを熊本市や福岡市で販売していく道を模索していきたいと思っている。(熊本編はこれで終わります。次回は大分県の集落を紹介します)


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