祭りの最後に「故郷」を合唱する目丸地区の住民たち
◆10月開校予定、地元雇用・活性化に期待
「(壇上に立つのは)小学校以来のことです。すみませんばってん、あがっとります。それでは目丸(めまる)の田植え唄(うた)を歌います」
車いすに座った80歳代の女性はこう言って、阿蘇の南、宮崎県境に近い熊本県山都(やまと)町の目丸地区に伝わる田植え唄を歌い始めた。
3月末に催された地区恒例のふるさと祭り。歌や踊りが披露され、約100人の住民が楽しいひとときを過ごした。
目丸地区の住民は170人余り。半数以上は65歳以上の高齢者だ。
ふるさと祭りは過疎化が進む中、「残った人たちが一日を楽しく過ごし、親交を深めよう」と始まったという。今年で17回目。地区の芸達者が演壇に上がり、さらには主婦グループがつくる素人劇団の公演に、拍手と笑いがわき起こる。
最後は童謡「故郷(ふるさと)」の合唱。圧倒的に中高年が目立つ参加者は全員起立して声を合わせた。
会場となったのは、かつて地区の子供たちが通った白糸第3小学校。現在は廃校になっている。
この廃校舎を通信制高校にすることになり、白糸第3校区自治振興会会長の山崎新教(よしのり)さん(67)は「地元雇用や活性化につながれば」と期待を寄せる。
構造改革特区制度で、テドポオト社(本社・福岡市)が広域通信制高校を設立することが今春認定された。高校をさまざまな理由で中途退学する生徒は年間約8万人。株式会社がそうした生徒の受け皿となる通信制高校を設立、すでに全国で19校が開校している。
同社は10月の開校を目指す。同社が福岡、北九州、熊本市の3か所に設けた学習センターには約300人の生徒が在籍し、ほかの既存の通信制高校で年に数回程度のスクーリングと呼ばれる授業を受けてきた。10月以降は目丸の校舎が自前の通信制高校となる。
テドポオト社の佐藤利幸代表取締役CEOは「自然豊かで歴史のある山都町に開校できて光栄。高校運営にまつわる何らかの地元雇用策も考えていきたいし、目丸地区の活性化になれば幸い」と語る。