楕円(だえん)形の大きな施設・小倉競馬場が写っていなければ、この写真の撮影場所がどこなのか、今では想像するのも難しいだろう。北九州市内でも有数の大型団地、徳力団地建設前の姿だ。一帯は高度成長期以降、同市内でも最も変ぼうを遂げた地域の一つと言われるが、現在の写真と比べれば、うなずくほかない。
写真の正確な撮影日時は1966年(昭和41年)1月19日。建設地は造成途上で、まだ建物の姿は見えないが、実はこの年の暮れには一部建物が完成し入居が始まっている。経済成長とともに核家族化が進んだ当時の旺盛な住宅需要を反映してか、急ピッチで建設が進んだようだ。賃貸・分譲を合わせて約2400戸を抱える同団地は完成当時、九州最大の住宅団地として注目を浴び、一帯発展の核となっていった。
1985年には北九州モノレールが開通。団地前には「徳力公団前」駅も設けられ、交通の便は一気に向上した。
完成から約40年がたったが、管理するUR都市機構九州支社(福岡市)の話では、同団地は今でも指折りの人気物件。同支社担当者は「空きが出ても、すぐに埋まってしまいます」と話す。建物が古くなった分、家賃は相場よりも安くなっており、「利便性が良い割には、安い」というのが理由らしい。