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過密社会の新感染症…その時にどう備え、どう守るか パネル討論詳報

 第21回医療ルネサンス・セミナー「新型インフルエンザと対応…パンデミック(大流行)の脅威」が2月22日、福岡市・天神のアクロス福岡で開かれた。大流行が懸念される新型インフルエンザへの備えや対策について、行政、医療、企業関係の講師4人が意見を交わした。聴講者は約550人。一般の市民のほかに、全国から医療関係者らが訪れ、関心の高さをうかがわせた。(司会、コーディネーターは藤野博史・読売新聞西部本社医療セミナー事務局長)


新型インフルエンザについて意見を交わすパネリストたち=秋月正樹撮影

 ◇パネリスト
柏木征三郎さん 国立病院機構九州医療センター名誉院長
佐野  正さん 福岡県保健衛生課参事、医師
青木 知信さん 福岡市立こども病院・感染症センター副院長
土肥誠太郎さん 三井化学本社健康管理室長・統括産業医

 藤野 素朴な質問からうかがいたい。例えばタクシーの運転手さんは、どうやって新型インフルエンザから身を守ればいいのだろう。

 柏木 密室に一緒にいるわけだから、危険性が高い。基本はワクチンを打つことだが、必ずしも十分ではない。マスクをする。手洗い、うがいをする。日常生活をきちんとするぐらいしか対策はない。

 藤野 タクシーは、車内が狭く、不特定多数の人と接触する。私たちも、通勤の地下鉄などで似たような環境にさらされる。

 柏木 免疫力が落ちると重症になる。風邪やインフルエンザが流行しているときは、食事をしっかり取るなどして、基礎体力をつけることが大切だ。

 藤野 福岡県内の対策はどうなっているのか。

 佐野 対策は早期と流行期に分けられる。早期は封じ込めが柱で、患者は入院して治療し、家族は健康状態をチェックして、必要に応じてタミフルを服用してもらいながら、10日程度外出を自粛してもらう。流行期は重症者だけ入院し、軽度の患者は自宅療養となる。入院するための病床数は、計画では県内で4000床が必要となっているが、現在、1500床程度の協力が得られる状況だ。

 藤野 土肥さんの会社では、新型インフルエンザにいつから備えたのか。

 土肥 対策の骨子ができあがったのが去年の1月。その後、マスク、消毒薬などの備蓄を開始して既に終了し、社員や家族向けにマスクのあっせんもした。さらに海外の各拠点では、タミフルやマスク、1か月間生活できるだけの食料品、水の備蓄をすでに終えている。

 藤野 県で流行したとき、死者はどれくらいと想定されているのか。

 佐野 対策を講じなかった場合、3000人から7000人と推計している。

 青木 医療技術は向上しているが、対応できないほど患者が集中すると、技術が発揮できない。想定より患者が出ても、死者は過去の例より少なくする体制が必要だ。

 藤野 新型インフルエンザにどう備えていくのか。個人的な対策を聞かせてほしい。

 柏木 新型インフルエンザは必ず起こる。マスクと、タミフルなどの予防薬、ワクチン接種が重要になる。

 佐野 新型インフルエンザの対策は、通常のインフルエンザ対策の延長線上にある。手洗いの励行とせきをする際、口や鼻をマスクなどで覆うエチケットが大事だ。

 青木 適度な緊張感を持ち、しっかり健康管理をすることで、人体に備わる免疫機能を働かせることが大切ではないか。

 土肥 会社としては、通常のインフルエンザを新型インフルエンザと誤認されることを防止するため、すでに数年前から通常のインフルエンザの予防接種を無料で推進している。実施率は60%ぐらい。個人的には、せっけんを使って、しっかり手洗いをしている。

 ◆Q&A ワクチン本当に万能? 隔離時の人権配慮は?

 ――娘家族が海外に駐在しているが、帰国指示を出している企業もあって心配だ。

 土肥 新型インフルエンザ発生の危険が高い国はある程度推定されており、どの国にいるか、どの程度の準備ができているかが重要。まずは企業に問い合わせをしてほしい。

 ――地鶏などを飼っていて、鳥インフルエンザが不安だ。

 佐野 特に餌箱や水飲み場などに野鳥や野生動物を近づけないことが大事だ。

 ――万能ワクチンは本当に万能なのか。

 柏木 ワクチンはウイルスの型が違うと効果が落ちる。開発は進んでいるが、すぐに実用化されるのは難しいだろう。

 ――感染症の疑いがある人を隔離する際の人権への配慮は。

 青木 診る側から言うと、強制的に隔離しないと対応できない場合もある。説明をしっかりすることで人権を確保したい。

 佐野 入院勧告は、第三者も含めた委員会で意見を聞いて決める。人権には最大限配慮する。

2009年3月6日  読売新聞)


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