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補聴器 耳寄りな話 専門医細やか対応


 難聴になると、人と話すのがおっくうになってしまうようだ。大切な耳の「聞こえ」を支える取り組みを取材した。


外来で田中さん(左)の話を聞く白石さん(中央)と朝永さん。田中さんがつけている「耳かけ型」の補聴器は、病院の貸し出し用だ(福岡市東区の松田病院で)=田中勝美撮影

様々なタイプの補聴器。(上から)イヤホンを使う「箱型」、耳にかける「耳かけ型」、目立たない「耳穴型」。最近は色が豊かになっているそうだ

 「補聴器はどうですか」

 「テレビの音はよく聞こえるが、台所の水仕事の音がうるさいとですよ」

 福岡市東区の松田病院で、九州大教授の白石君男さん(60)が約20年前から開いている補聴器外来を見学させていただいた。白石さんは難聴者の支援が研究テーマで、言語聴覚士の資格も持つ。

 最初の患者は、近所の田中将(すすむ)さん(86)。昨年夏から右耳だけ補聴器を使っている。妻が「テレビの音が大きい」と病院に相談し、白石さんの外来を受診したのがきっかけだ。

 聴力検査の結果、右耳は「中等度難聴」、左耳は「高度難聴」だった。病院から「耳かけ型」の補聴器を借りて2週間ほど試した後、紹介された「認定補聴器専門店」で、外からは目立たない「耳穴型」を約16万円で購入した。「落語好きの弟が誘ってくれる寄席も、ちゃんと聞き取れるようになった」と喜ぶ。

 ただ、お茶わんのすれる音などが耳に響き、はずしていることも多いという。白石さんは「人の話が聞き取れて、同時に雑音があまり入らないように、音質を調整しましょう」と話した。

     ◇

 次は、薬の副作用で難聴になった50歳代の男性。症状が悪化し、仕事にミスが出て困っているという。

 両耳とも「高度難聴」と診断された。身体障害者として認定されるため、補聴器の無料給付が受けられる。メーカーの「認定補聴器技能者」が外来に立ち合い、補聴器とパソコンをつなげて音量などを調整。それをつけて再度検査をすると、最初より2割程度は言葉が聞き取れるようになった。

 この男性の場合、補聴器の効果には限度があるが、人に話しかけられたことが分かるので、コミュニケーションの助けになるそうだ。

 「周りの人と楽しく過ごすための大切な道具です」と白石さん。自身も軽い難聴で、補聴器をつけている。

 最近は、同様の外来を設ける医療機関が増えた。地域の耳鼻科などに問い合わせるといいそうだ。「治療すれば治る難聴もある。まずは耳の状態を知るために、専門医の診断を受けて」

 難聴1メートル先の音で区分

 松田病院の言語聴覚士、朝永真理子さん(26)によると、難聴の程度は、1メートル先の音がどの程度聞こえるかで区分する。

 中等度以上になると、自分も周りも困るようになる。「補聴器で聞こえが改善すると、患者さんの表情がパッと明るくなり、家族と会話がはずむのがうれしい」

 外来は、「補聴器相談医」の認定を受けた病院の医師と連携して行われており、補聴器の効果が出ない人には、人工内耳の手術を勧めるケースもあるそうだ。

 iPhoneアプリも


iPhoneの画面に周波数のグラフが表示される

 1年前におたふく風邪で右耳の聴力を失った神戸市の大坪健二さん(35)は、スマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」に補聴機能を持たせるアプリを開発。iPhone付属の「App Store(アップストア)」で販売している。1200円。

 電話の内蔵マイクで拾った音を増幅し、イヤホンに出力する仕組み。拡大する音域や音量を自分で調整できる。人によって効果が異なり、補聴器と併用する人もいるそうだ。「会話を助ける一手段として活用して」

 筆談用のボードおしゃれに携帯

 熊本県難聴者中途失聴者協会の女性グループ「(ナ)の花倶楽部(なはなくらぶ)」は、「気軽に筆談ができる社会にしたい」と、携帯ホワイトボード=写真=を手作りし、販売している。大650円、ポケットサイズ450円など。問い合わせは協会(ファクス096・379・9482)へ。

 ◇連絡先

 松田病院 092・651・0522

 大坪さんが代表を務める聴覚障害者支援団体「Link(リンク)」 http://link-ai.jp/

 「耳の日」(3月3日)関連イベント、各地で

 ◆25日

 ▽熊本市の熊本大学病院 山崎記念館。午後1時から人工内耳に関する講演や装用者の体験発表。(日本耳鼻咽喉科学会熊本県地方部会=096・373・5255)

 ◆3月3日

 ▽宮崎市のJA・AZM(アズム)ホール。午後1時から講演会や無料相談(宮崎大医学部=0985・85・2966)

 ◆3月4日

 ▽福岡市中央区のアクロス福岡。午前10時から講演会や無料相談。(宿久耳鼻咽喉科=092・574・4187)

 ▽佐賀市大和町の「道の駅 大和そよかぜ館」。午前10時から無料相談。(同学会佐賀県地方部会=0952・34・2379)

 ▽長崎県大村市の市民会館。午後1時から講演会、補聴器や人工内耳の無料相談(野田耳鼻咽喉科=0957・28・8733)

 ▽大分市のTOKIWAわさだタウン。午前10時から無料相談。(同学会大分県地方部会=097・586・5913)

 ▽鹿児島市の鹿児島県医師会館。午後1時から補聴器装用のコツなどの公開講座。(鹿児島大学病院耳鼻咽喉科=099・275・5410)

2012年2月20日  読売新聞)
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