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「優良」一転、赤字続き 苦境にあえぐ平成筑豊鉄道

行橋駅発の列車に乗り込む乗客(行橋駅で)

 県と沿線9市町村が出資する第3セクター・平成筑豊鉄道(本社・福智町)が苦境にあえいでいる。2004年度から赤字続きで、08年度まで5年間の累積額は約1億5500万円の見込み。07年度の乗客数は約203万人と1992年度のピーク時から139万人減る中、4月から運行を始めた観光トロッコ列車との相乗効果などに期待を寄せるが、経営改善の抜本策は見えていない。

 同鉄道は、旧国鉄時代から赤字だった伊田(田川伊田―直方間16・1キロ)、糸田(金田―田川後藤寺間6・8キロ)、田川(行橋―田川伊田間26・3キロ)の3路線(計49・2キロ)の経営をJR九州から引き継ぎ、89年10月に開業。現在は全35駅の間に毎日194本の列車(1〜2両)を運行している。

 開業から96年度までは黒字経営で、全国の3セク鉄道の中でも「優良」とされた。その後も、伊田線でセメントを輸送する三井鉱山からの輸送収入(年間約7000万〜1億5000万円)に支えられ堅調だった。

 しかし、少子化による乗客数減などで02年度に経営が悪化、沿線9市町村から経営安定化補助金を受け始めた。03年度までは赤字を回避したが、三井鉱山が輸送事業から撤退した04年度から赤字に転落。その額は07年度には過去最悪の約5100万円となった。

 08年7月には9市町村に対し、毎年度計約2100万円の補助金を約4700万円に増額するよう要請、同12月に了承を得た。それでも、08年度は約3000万円の赤字見込みという。

 こうした状況から、市町村の担当者の間では「経営改善のめどが立っておらず、今後も自治体の負担が増えるのではないか」「鉄道の存続そのものが危うくなる恐れがある」といった懸念が広がっている。

     ◇

 同鉄道は乗客数や収入の増加に向け、様々な試みを続けている。

 線路の枕木や車内のつり革に名前やメッセージを刻めるオーナー制度もその一つ。08年度までに枕木793本、つり革290本のオーナーが決まり、1本につき5000円の収入を得た。駅の命名権(ネーミングライツ)も約半数の16駅について売却、乗降客数に応じて年間90万〜15万円の収入がある。

 大きな期待をかけるのは、今年4月26日から門司港レトロ地区で北九州市と共同運行を始めた観光トロッコ列車「潮風号」だ。同鉄道の行武嘉則・総務部長は「収入増に加え、年間約200万人のレトロ地区の観光客に沿線の魅力を含めて平成筑豊鉄道をアピールできるのは大きい。相乗効果を狙いたい」と意気込む。

 通学で平成筑豊鉄道を利用している田川市の高校1年の女子生徒(15)は「勉強に欠かせない『足』。廃止になったりしたら困る」、年金生活のみやこ町の女性(73)も「通院や買い物でよく利用する。ほかの交通機関に比べ運賃が安いので生活が助かる」と頼る。

 経営改善には何が必要なのか。営業や経費などあらゆる要素を再検討すると同時に、ニーズ把握のために利用者も巻き込んだ議論の場を作ってはどうか。

2009年5月10日  読売新聞)
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