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純米酒の里を訪ねて水にこだわり手作りの味車窓の隙間から入ってくる冷たい空気が心地よかった。各駅停車のディーゼル車は、収穫を終えた田んぼの間をゆっくり進む。ようやく山口県岩国市のJR周防高森駅に到着。タクシーに乗り換え、山道を上ると古い瓦屋根の建物と真新しい白い3階建て建物が見えてきた。 米だけを使った純米大吟醸「 酒の温度が上がって発酵が進みすぎないよう、仕込みは冬に行われることが多い。旭酒造の蔵でも、職人たちが米の洗浄や 「蔵は存続の危機に直面していました」。桜井博志社長(61)は父親から事業を引き継いだ1984年当時を振り返った。焼酎に押され、主力の普通酒の売り上げは年々減少。「舌の肥えた消費者を納得させる酒で勝負しよう」。純米酒への特化に生き残りをかけた。 周囲に民家は少なく、前を流れる東川は澄み切っている。「地元のきれいな水で仕込んだ酒にしたい」と考えたものの課題があった。酵母の活動を促すミネラルが少ない軟水。発酵に時間がかかり、微妙な温度調整などが求められる。効率的な酒造りには適さず、普通酒の時は、わざわざ県外から水を取り寄せていた。 発酵期間は普通酒の倍の約1か月。ほとんどの工程を機械に頼らず、手作業で丁寧に仕上げると、水の良さが生きた柔らかくフルーティーな酒になった。 蔵の「分析室」の壁に貼られた方眼紙には、獺祭の各タンクから抜き取ったサンプルの酸度やアルコール分、糖分がびっしり書き込まれている。「発酵状態を把握するため一時も目を離すことができません」と常務取締役の桜井一宏さん(35)。こうした努力が報われ、売り上げは毎年3割ずつ増えている。特に女性ファンが増え、試飲会では4割を占めるという。 獺祭に代表されるように最近、女性の間で日本酒ブームが起きている。福岡県酒造組合は女性向け情報誌と協力し、ラベルの見方や利き酒などを4か月間かけて学ぶ女性限定の「お酒の学校」を開催。これまでに約360人が卒業した。 卒業生が集う福岡市中央区春吉の「福岡の地酒BAR 福酒」を訪ねた。「 昨年2月の開店後、客層の6割は女性。女性に連れられて来店し、改めて日本酒を飲むようになった男性もいるという。「オヤジの酒」から「オシャレなお酒」に。日本酒造組合中央会(東京)は「酔うためだけでなく味を楽しむ粋な ◆ルート博多から山陽新幹線に乗り、海沿いの工業地帯を眺めながら約1時間20分で徳山へ。乗り換えたJR岩徳線の列車は、乗客の多くが高校生やお年寄りで、地元の生活路線として定着していると感じた。農村風景を堪能し、約40分で周防高森駅に到着した。旭酒造まではタクシーで約15分。 「福岡の地酒BAR 福酒」((電)092・738・3522)は福岡市営地下鉄天神駅から南東に徒歩10分。立正寺北側のビル2階。 ◆みどころ「旭酒造」((電)0827・86・0120)では蔵の見学を受け付けている。見学開始は毎日午後1時半からで、1週間前までの予約が必要。白衣や帽子代として200円かかる。 岩国では、JR岩国駅と市北部を結ぶ錦川清流線を使った旅もおすすめ。終点の錦町駅からはトロッコ列車「とことこトレイン」が 錦町駅の近くにある「道の駅ピュアラインにしき」では特産のコンニャクやワサビを使った土産品を販売。レストランではミニ会席や郷土の季節料理などを味わうことができる。 有名な名勝「錦帯橋」の近くには、女流作家・宇野千代(1996年死去)の生家がある。愛用の机や直筆原稿のコピーなどが展示されている。入場料大人300円。 (2012年1月23日 読売新聞)
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