ニュース 速報 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
詳しくはこちら
現在位置は
です

本文です
鉄道ニュース

九州・山陽新幹線相互乗り入れ、飛行機に対抗…JR2社合意  (07.10.18)

 JR九州とJR西日本は、九州新幹線と山陽新幹線の相互乗り入れに合意した。直通列車の運行で利便性向上を図り、飛行機に対して競争力を高める戦略だ。ただ、新型車両の開発に膨大な費用がかかるなど懸念材料も多く、相互乗り入れが利用促進の起爆剤になるかどうかは未知数だ。

 ◆思惑 

 移動距離が1000キロ・メートルを超えると、飛行機を使う人の比率が急上昇するとされる。新大阪〜鹿児島中央は約900キロ・メートルある。国土交通省の統計では、鹿児島〜大阪間の移動手段は、飛行機が85%のシェア(占有率)を握り、鉄道は3%に過ぎない。

 九州新幹線の全線開業で、新大阪〜鹿児島中央は1時間ほど短縮され、約4時間で結ばれる。直通列車なら乗り換える煩雑さも解消される。この日会見したJR九州の石原進社長は「直通への要望は非常に強かった。観光客誘致にもプラスにしたい」と語った。

 伊丹空港(大阪府豊中市)〜鹿児島空港の飛行機の所要時間は1時間余りだが、鹿児島空港は市街地から遠い。JR西日本の山崎正夫社長も「新幹線は都市中心部に停車し、(全体の所要時間は)航空機に比べ遜色(そんしょく)ない」とし、シェア引き上げに努める考えを示した。また、熊本〜新大阪も重要路線ととらえ、飛行機利用客の取り込みを目指す方針だ。

 ◆期待 

 沿線自治体も大きな期待を寄せる。熊本県は「博多で乗り換えの場合、人の流れに大きな壁ができていた」(交通対策総室)と胸をなで下ろす。

 鹿児島地域経済研究所(鹿児島市)は、2004年の九州新幹線部分開業(新八代〜鹿児島中央)に伴い、鹿児島県に初年度は165億円超の経済効果がもたらされたと試算した。全線が開通し、新大阪まで直通列車が走れば、さらなる波及効果も見込める。

 同研究所の鳥丸聡・経済調査部長は「『乗り換えなし』というのは、利用者心理に大きく影響する。甲子園球場へ野球観戦に行くといった新しい需要も生まれるかもしれない」と話す。

 ◆課題 

 一方で課題もある。坂が多い九州の軌道に対応するため、山陽新幹線の車両に改良を加える。両社合わせて29編成の新型車両を導入するが、投資額は計1400億円にのぼる。JR九州が建設を進める新しい博多駅ビル2棟分もの金額だ。

 両社は「精いっぱいの投資に見合う乗客を獲得したい」(山崎社長)としているが、航空会社の反撃も予想され、増収への効果は現時点では測れない。

 ダイヤ編成を左右する停車駅の選定も今後の協議事項だ。「停車駅が多いと所要時間が長くなり、敬遠する人が増える」(鉄道評論家の川島令三氏)との指摘もある。沿線の期待に配慮しつつ、乗客の利便性と新幹線の競争力を損ねないダイヤ編成が要求される。


現在位置は
です