港町に半世紀 憩いの湯/日乃出温泉(山口県下関市)
立ち寄りの湯<3>
湯船でくつろぐ常連客ら。右奥の壁面には小さいながらも富士山の絵があり、銭湯らしい雰囲気が漂う
関門海峡に面した港町で約半世紀、地元の人たちの憩いの場として営業を続ける銭湯だ。JR下関駅から歩いて10分ほどの海沿いにあり、入り口には「オンセン」の赤いネオンサイン。戸を開けると、男湯と女湯の間に番台があり、懐かしい感じがした。「地下10メートルからわき出る19度の鉱泉を加熱しています」と経営者の吉本太一さん(74)。温泉法などでは水温25度以上が温泉、それ以下は鉱泉と分類されるが、天然のミネラル分が含まれることには変わりなく、「温泉」と名乗る。
元々は、網元だった吉本さんの父(故人)が漁船員のために設けた浴場だった。漁業の低迷で網元をやめ、持ち船だった「日乃出丸」にちなんだ屋号で1959年に銭湯として再出発した。
脱衣場では常連客の会話が弾んでいた。出張や観光の合間に立ち寄る人も結構いるそうだ。ほぼ毎日来るという男性(60)は「湯冷めしにくく、寝付きもいい」。その通り、湯につかった後は体がぽかぽかで、夜もぐっすり眠れた。
〈情報〉ナトリウム塩化物冷鉱泉。午後3時〜10時。月曜定休。中学生以上390円、小学生150円、未就学児80円。(電)083・266・4403
〈見て・食べて〉旬のフグが市内の飲食店で楽しめる。車で約10分の「唐戸市場」ではフグのみそ汁、空揚げ、すしなどが提供され、関門海峡を眺めながら食べられる。
(2012年1月23日 読売新聞)